"オミクロン株の広がりやすさ「デルタの4倍」"からピーク推計
以前に推計した、感染力倍率からのデルタ株のピーク推計を、オミクロン株の場合に適用して推計してみたいと思います。
目次
デルタ株推計の検証と調整
推計結果の検証
デルタ株での推計では、以下のような推計式を抽出しました。
感染力倍率^(感染拡大日数/10日)
推計内容と実際の状況は以下の通り
推計: デルタ株はアルファ株の11.4倍 実際の状況: デルタ株ピーク(25992人)÷アルファ株ピーク(7238人)=3.59倍
推計と実際の状況は、およそ3.17倍の開きがありました。
推計式の検証
この開きを指数部の調整として、推計式に適用してみます。
感染力倍率^(感染拡大日数/10日/1.9)
指数部の調整に当てはめるとおおよそ1/1.9という値になります。
意味的には以下のような場合が考えられます。
感染力倍率^(感染拡大日数/19日)
と考えると感染可能期間は19日程度が妥当である可能性(感染力倍率^(1/1.9))^(感染拡大日数/10日)
と考えると採用した感染力倍率(1.5倍)に対して、実際は1.24倍程度が妥当だった
アルファ株に対するデルタ株の感染力の倍率については、複数の説があり、1.25程度という話もあったので、2つ目が理由としてありそうな気がします。
感染力倍率の設定に誤りがあったとすると、推計式はそのままでいい事になります。
念のため、次のオミクロン株のピーク推計では、以下の2つの推計式でピークを推計してみたいと思います。
感染力倍率^(感染拡大日数/10日)
感染力倍率^(感染拡大日数/19日)
オミクロン株のピーク推計
感染力倍率は以下の記事を参照して
デルタ株の4.2倍に設定します。
また、感染拡大日数は前回のデルタ株の場合の推計同様に60日に設定します。
前述の通り、感染可能期間が10日、19日の2パターンで推計すると
感染力倍率^(感染拡大日数/10日) => 4.2^(60/10)≒5489倍
感染力倍率^(感染拡大日数/19日) => 4.2^(60/19)≒93倍
となります。
※ 前述の通り、感染可能期間を10日に設定した推計結果、5489倍がより妥当な推計と思われます。
以下のグラフより、前回のピークを23147人(7日間平均)とすると、オミクロンの感染数ピークは1.27億人(感染可能期間10日推計)または215万人(感染可能期間19日推計)と推計されます。
※ あくまで推計なので、実際には集団免疫もしくはそれに近いものが形成されて、ピークはもっと低くなると思われます。ただ、入院や酸素、機材などが不足して、ほぼ期待できない状況や、以降の変異ペースのさらに加速する可能性があります。
イギリスのオミクロン株ピーク推計
以下のグラフより、前回のイギリスのピークを43404人(7日間平均)とすると、オミクロンの感染数ピークは2.38億人(感染可能期間10日推計)または404万人(感染可能期間19日推計)と推計されます。
以下の「感染数が倍になる期間」をベースとした推計では、1.30億人~20.8億人という推計が得られ、より妥当と思われる今回の2.38億人という推計結果は、その範囲に入っています。
※ 日本の場合の推計同様、あくまで単純な推計なので、どこかでピークがあると思います。ただ、今までの比でない感染状況となる可能性があると思われます。
補足
以前推計した以下の推計との違いについて
今回の推計では感染力の倍率をベースにしていますが、上記の記事での推計は感染数が倍になる期間をベースに推計しています。
まとめ
あくまで大雑把な推計で、ワクチンなどの効果も加味していません。
ただ、少なくともデルタ株よりは状況がまずいのではないかと言う気がします。
感染数が爆発的に増えれば変異頻度も上がり、次の凶悪な変異は、より早く、場合によっては複数同時に発生する可能性があると思います。
新しい変異株発生のペースがワクチン開発・製造のペースを上回っているようにも見えます
また、オミクロンの感染力(そこから推測される感染数)を考えると、さらに変異ペースが加速する可能性を考えられます。
既に後戻りのできない負のループに入ってしまっているのではないかという気がします。
産業革命くらいの事を考えて、コロナ対策を経済加速に使ってしまうくらいの思いっきりさが必要な気がします。
※ 詳細は以下の記事と重複するため省略しています。変異などを含めた今後の予測は以下を参照してください。
追記
「オミクロン変異株の感染力、デルタ株の3倍 米CDC」から推計
以下の記事より、感染力がデルタ株の3.19倍として、本文と同様の推計をしてみました。
ピーク時の新規感染数は、感染可能期間が10日の設定だとデルタ株の1054倍程度、19日の設定だと39倍程度と推計結果となりました。
※ 推計の詳細については、本文や推計シートを参照してください
日本の場合だと、
- 感染可能期間が10日の場合
- 2439万人程度
- 感染可能期間が19日の場合
- 90万人程度
英国の場合は、
- 感染可能期間が10日の場合
- 4574万人程度
- 感染可能期間が19日の場合
- 169万人程度
と推計されます。
繰り返しになりますが、デルタ株拡大時との環境の違い(ワクチン接種状況など)や免疫の形成などは考慮していないため、実際にはある程度の拡大で高止まりするものと思われます。
ただ、拡大が"自然"に任せる状況となり3人に1人、2人に1人が感染という状況も可能性として十分あると思われます。
米国の推計
米新規感染者、3日のデータ算入が100万人超-休日で処理遅れ (訂正)
というニュースがトレンドになっていたので、米国についても推計してみました。
- 感染可能期間が10日の場合
- 18528万人程度
- 感染可能期間が19日の場合
- 685万人程度
処理遅れとはいえ、先週の時点でも50万にの新規感染が出ています。
以下の図を見る限り、まだまだピークが見えない状況で、推計結果のような感染状況の可能性もあり得ると思います。
※ 推計の詳細については、本文や推計シートを参照してください
全世界の推計
- 感染可能期間が10日の場合
- 69756万人程度
- 感染可能期間が19日の場合
- 2581万人程度
※ 推計の詳細については、本文や推計シートを参照してください
推計シート
推計の詳細については以下のページを参照してください。
感染数について
検査能力をこえる場合や、未検査数の増加でカウントされない感染者が出るものと思われます。
感染数については、予測より小さくなると思われます。
症状がより重い、入院が必要なケースや重症化するケースは検査を受けられる場合が多いと思うので、それほど影響しないのではないかと思われます。
欧州人口の半分以上、6─8週間でオミクロン感染の可能性=WHO
本記事での推計は、人口上限を考慮せずに推計していますが、人口をこえる推計結果から、免疫が効くか効かないかで決まる状況までいく事が予測されます。
WHOの見通しは、ワクチンまたは既感染で形成された免疫の効果や、ブースター接種の進度を考慮しての見通しではないかと思われます。